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直葬とは?費用の相場とメリット・デメリット

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直葬費用の相場

近年、多くの人に来てもらう豪華な葬儀ではなく「直葬(ちょくそう)」という葬儀が行われるようになっています。直葬とは、通常の葬儀で実施される「お通夜・告別式」を行わず、親族など親しい方数名のみ集まって「火葬だけ行う葬儀」のことです。

かつての葬儀では、通夜・告別式が行われるのが一般的でしたが、現在は価値観が多様化し、「お金がかかる儀式は行わない方がよい」と考える人が増えているのです。今回は「直葬がどのように実施されるのか」「費用はどのくらいかかるのか」、直葬のメリット・デメリットと合わせて紹介していきます。

直葬を行う場合は、事前に親族や知人へ相談しておかないと、後日問題になることもあるので注意してください。私の体験談ではありますが、葬儀に親戚が絡んでくる率は非常に高く、田舎であればあるほどその傾向が強いように感じます。

 

直葬とはどんな葬儀?通夜式、告別式を行わないシンプルなお別れ

一般的に「葬儀」と聞くと、「お通夜」と「お葬式(告別式)」をイメージする人は多いでしょう。お通夜 ⇒ お葬式 ⇒ 火葬場 ⇒ 骨上げをして49日後にお墓に埋葬する・・・というのが一般的なお葬式の流れです。

一方、直葬はお通夜・お葬式(告別式)を実施しないという葬儀の形です。簡素な形なので手間がかからないのはもちろん、費用もかからないということで、最近では直葬によるお別れが選ばれるケースが増えています。

直葬と通常のお葬式との違い

通常の葬儀では1日目に通夜式を執り行い、2日目にお葬式と火葬が行われ、その際は大勢の参列者を招くのが通例ですが、直葬の場合は亡くなってからご遺体を自宅や安置所に安置し、そこから直接火葬場に行きます。

法律によって死後24時間は火葬できないことが規定されているので、直葬の場合でもご自宅に安置もしくは遺体安置場所を確保しなければなりません。僧侶による読経は、火葬の直前に行われます。

直葬における臨終から骨上げまでの具体的なプロセス

亡くなった後、まず葬儀社に電話等で伝えて、ご遺体を迎えに来てもらいます。病院側から葬儀社を紹介されることもありますが、事前に葬儀社を決めているなら断りましょう。
(参考:葬儀・葬式前に確認しておきたいこと

病院で亡くなったなら、すぐに医師に「死亡診断書」を書いてもらいます。自宅で亡くなったなら警察によって検視が行われることがある(事件性がないかの確認のため)ので、その場合は許可が出るまでご遺体の場所を移すことはできません。

病院で亡くなった場合は、ご遺体を寝台車で安置所もしくは自宅に運びます。自宅で亡くなった場合は、そのまま自宅に安置しても問題ありません。ただ、自宅での安置が困難なときは葬儀社に連絡して安置所に搬送します。

安置場所に搬送後、遺族は葬儀会社の担当者と火葬場と僧侶の手配について打ち合わせを行い、その後の段取りを決めるのです。お棺が安置場所に届けられると、ご遺体を仏衣で包んで納棺をします。

亡くなってから24時間が経過した後に火葬場に移動。僧侶による読経ののち火葬が行われます。火葬には1時間程かかるので、火葬場の控室で待機します。火葬を終えると、遺骨を骨壺に収める「骨上げ」を行って葬儀は終了です。

直葬を行う際に注意すべきこと

直葬ではお通夜とお葬式を行いませんが、「火葬場さえ確保すればよい」というわけではありません。ご遺体は亡くなったあと最低でも24時間保管せねばならないので、自宅でご遺体を迎えるための準備を整える必要があります。

自宅で安置できないときは遺体安置所を探す必要があるので、自分で探す余裕がないときは葬儀社に連絡して確保してもらいましょう。火葬場で寺院関係者にお経を読んでもらう場合、お布施とお車代(交通費)を用意する必要があります。

参列者からの香典は辞退しても問題ありません。直葬は簡素な内容になるので、参列する側もそれほどサポートする必要がないと感じ、高額な香典を持参することは少ないとも言われています。事前に連絡する際、香典の辞退を伝えるなど参列者に配慮することも必要です。

「直葬の費用相場」は地域ごとに異なります

直葬の特徴は、規模の大きなお通夜・お葬式(告別式)を実施しない分、お金がかからないという点です。経済的な理由から直葬が行われるというケースも少なくありません。

最近では葬儀会社でも、格安で行える直葬プランを用意していることが増えています。
ただ、追加のサービスや物品を利用することで、提示されている額よりも高くなる場合もあるので、実際にどのくらいの費用がかかるのか事前に確認する必要があるでしょう。

直葬に必要な費用の内訳

日本消費者協会の調査によれば、一般的な葬儀費用の平均は、「通夜からの飲食接待費」(平均30.6万円)、「寺院への費用」(平均47.3万円)、「葬儀一式費用」(平均121.4万円)などを加えて総額で約196万円となります。
(参考:葬儀費用の相場はどのくらい?葬式の費用を安くするための知識

それに対して、直葬は20~30万円ほどの費用で済むのが一般的です。
ただ、直葬であっても、ご遺体を扱う上で必要になる物品や最低限のサービス利用は必要です。一般の葬儀よりはるかに安くはなりますが、一定の費用はかかります。

直葬に必要な物品・サービス利用

  • 1病院で亡くなった場合、「病院から遺体安置所(または自宅)」と「遺体安置所(または自宅)から火葬場」へと、2回の移動が必要です。自宅で亡くなり、かつ安置所の利用が不要な場合でも、自宅から火葬場にご遺体を移します。搬送料金は10kmまで15,000円前後となります。
  • 2安置施設(ご遺体)の使用料(約3日分)・・・1万5,000円前後(面会室を利用した場合は2万5,000円前後必要)
  • 3ご遺体を安置するのに必要なドライアイス(約3日分)・・・1万6,000円前後
  • 4お棺(数万円~数十万円)、骨壺(数千円~)、お別れ用のお花(数千円~)
  • 5火葬料金(自治体ごとに異なり無料~数万円)
  • 6当日運営のスタッフ(数千円)

直葬の相場を紹介(地域ごと)

直葬の費用は、火葬料金が地域によって異なるので相場も変わります。参考までに直葬の平均相場(主要都市)を載せておきます。

主要都市 直葬の平均相場 備考
東京都 10~20万円 都内の火葬場の多くが民営なので、火葬料金の平均額が高額になる傾向あり。
札幌市 5~15万円  
京都市 5~15万円  
神戸市 5~20万円 地域によっては火葬料金が高額になることも。
福岡市 10~30万円 人気の葬儀社に直葬を依頼すると高額になる場合も。ただその分、サービス内容は手厚い。

直葬のメリットとデメリット

直葬のメリットとデメリットを比べたとき、どちらの側がより大きくなるかは、故人とその家族の社会的な関係性・経済的状況によって変わります。メリットとデメリットの両方を踏まえた上で決断することが必要です。

故人が無くなってから対応を考えるのではなく、生前のうちから本人も交えて葬儀をどのように行うのか話し合っておくことをオススメします。

直葬のメリットは?費用が抑えられるのが最大の利点

通夜式やお葬式(告別式)を行わない直葬は、一般的な葬儀よりも経済的な負担ははるかに小さいです。家計が厳しい世帯にとっては助かる葬儀形態であると言えます。
また、通常直葬はご家族・親族など身近な人だけで行うので、参列者に対する対応が不要になることが多いです。

お通夜や告別式を行う場合、喪主が参列者へ頻繁に挨拶するほか、受付係の手配も必要です。さらに香典に対する香典返しや手伝ってくれた方へのお礼など、葬儀後も忙しい日々が続きます。直葬であれば、こうした手間を省くことができるのです。
(関連:香典返しの相場金額はいくら?お返しするときのNG・タブーな商品

直葬のデメリットは?親族や参列を希望する方への配慮が必要

直葬は一般的に行われている葬儀よりも質素・簡素なものです。親族や故人の友人の中には「どうしてこんな寂しい葬儀なのか」と指摘し、後日トラブルになることも考えられます。葬儀を行う前に、「なぜ直葬を行うのか」を説明し、納得してもらわねばなりません。

また、直葬は身内だけで行われるのが一般的なので、招待できる参列者は限られます。後日、葬儀に参列できなかったことを悔やむ方や「参列したかったのに」と苦情を言われる場合も・・・

葬儀を行った後、お金をかけない形で弔問の場・お別れの会をあらためて設けるなどの対応を検討しましょう。このあたりはケース・バイ・ケースとなるので、親族間で話し合って決める必要があります。

葬儀の選択は後悔のないように!生前に話し合っておくことも大事

直葬はお金や手間をかけずに行える新しい葬儀の形です。ただ、通夜式・お葬式(告別式)は日本の文化として古くから行われてきたこと。実施しなくても問題がないのか、事前に検討することが必要です。

本人が亡くなってからだと考える時間的余裕がありません。私の両親が亡くなったときもそうだったので、本ブログでは本人が生前のうちから家族・親族の間で話し合うことを推奨しています。後悔のない葬儀のあり方を考えてみてください。